10.24.2011

フランス人が冷たいなんて誰がいったの?

人とのコミュニケーションを図るにあたって、この旅の間に学んだ事がいくつかある。一つ目は謙虚である事。二つ目は忍耐強くある事。そして三つ目は相手に歩み寄る事である。あくまでも彼らの国のゲストである僕たちは、自分の主観や常識でモノゴトを図る事はできない。列に並んでいて抜かされても、店員に面倒臭がられても、辛抱強く待たなくてはならない。これは自身の言い分を主張をしないという事ではなく、相手を尊重している姿勢を保つという事だと思う。

先日、パリでデパートに行った時の事。商品を持って、レジカウンターへ向かって伸びる2つの列のうちのひとつに並んだ。僕の前の人が会計を終えると、そのすぐ脇に立っていた男性がすかさず店員に商品を差し出した。店員はその人を制止し手振りで僕を呼んだが、僕が並ぶ前からいたと思われる彼に身振りで順番を譲った。するとこの男性、カウンターに積み上げた数十点の商品をひとつずつチェックし、「これはセール棚にあった」や「高いからやっぱりいらない」というようなやりとりを店員としている。その度に店員はレジから抜けて棚を確認しにいったり、いらなくなった商品をハジに除け、たたんだりしている。店員の効率は決していい方ではない。

長い。隣の列に移ろうかと迷ったが、待ってみた。男性は一度外した商品を復活させたり、なんらかの方法で予算内に収めようと努力している。うーん。僕の後ろに並んだ人たちは、牛歩の列からさっさと隣へ移っている。しかしここまで来ると自身の忍耐強さとの勝負である。特に誰が悪いわけでもの無いこの状況で、イライラする方がおかしい。そのマイペース同士のやりとりをみながら、夕飯の献立について考えていたその時、隣のレジから僕に向かって笑顔と併せて手が差し伸べられた。僕がずっと待っていた事にもう1人の店員が気づき、先に会計してくれるというのだ。

このような、人の優しさや心遣いがあふれる行為を目の当たりにすると、待っていてよかったと思う。旅行先では、言語の壁が理由で一言も言い返せずに待つしかできないというのも事実だ。でも、こんな小さな行為が、店を出る際の自身の気分を大きく変えてくれる。この考え方を、これから築いてゆく生活場所でも継続していければいいと思うわけである。

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