2.25.2011

カレーもカードも色とりどり ~緑があって黄もある~

旅に不可欠なイエローカード(”Yellow Card”もしくは”Carte Jaune“)。これは、2年前の新型インフルエンザ騒動でマーガレット・チャン事務局長がすっかりお馴染みとなった国際保健機関(WHO)が発行する、国際予防接種証明書(International Certificate of Vaccination)の事。これまで摂取したワクチンの記録が中に示されており、世界各国の医療機関で通用する優れものであり、また、特定のワクチン接種を要求される国ではパスポートと共に提示すべき証明書となる。

さて、世界をプラプラするに必要と思われる予防接種は以下のとおり。

A型肝炎 (Hepatitis A)     経口感染 (汚染水、食物の摂取)。アジア、アフリカ、中南米
B型肝炎 (Hepatitis B)     血液感染 (性行為、輸血・刺青・針刺等)。東南アジア
急性灰白髄炎 (Polio)     経口感染、ベクター感染 (シラミ)。インド、中近東、アフリカ
破傷風 (Tetanus)            創傷感染 (傷口から感染)。世界各地
百日咳 (pertussis)          飛沫感染 (くしゃみ、咳などから感染)。世界各地
ジフテリア (diphtheria)       介達感染 (汚染物を媒介して感染)、飛沫感染。ロシア、東欧州
狂犬病 (Rabies)             咬傷感染 (動物に咬まれ感染)アジア、アフリカ、中南米
日本脳炎 (Jpnse. Encephalitis)  ベクター感染 (蚊の刺咬)。東・南アジア、東南アジア
黄熱 (Yellow Fever)        ベクター感染 (蚊の刺咬)。アフリカ、南米の熱帯地域
コレラ (Cholera)               経口感染。アジア全域、アフリカ、中南米
腸チフス(Typhoid)        経口感染 。アフリカ、東・東南アジア、中南米、東・西欧州

…全部打ったらヘロ * ン中毒者並みの腕になってしまうのではないだろうか。


予防接種の為に我々が選んだのは、都内某所にあるKクリニック。患者の約8割が欧米からの長期滞在者であるらしい国際診療所は、以前サエがワクチン接種をした事のある施設。初診時は渡航先すら具体的でなかった我々を相手に、その知識と経験から必要と思われるワクチンを提案してくださったK先生は、国際旅行医学会認定医 (Certificate of Travel Health)。また、国内推奨ワクチンと輸入ワクチンの両方を取り揃えている先生は、それぞれのメリット・デメリットなどを丁寧に説明してくれ、選択させてくれる。とてもプロフェッショナル。また、上記の他に、海外の蚊帳や虫除けスプレー、予防薬などマラリア対策のグッズなども薦めてくれた。とてもカインド。

注意しなくてはいけないのは、複数回摂取しないと長期的な効果が持てないワクチンがあること。例えば、A型肝炎のワクチンを5年間持続させるには、2~4週間で2回摂取し、更に6ヵ月後に3回目を注入する必要があるので、必要な薬と日程については、早めに医療機関へ相談するのがよいかと。

2.22.2011

大きな貯金箱

旅用の銀行は、サエが提案したCITIBANKで決定。世界170以上の国と地域、約100万台のCD/ATMで現地通貨がひき下ろせること、そしてこの後アメリカへ移住する事を考えるとこれが我々にとって最適なのでは、ということでめずらしく他の選択肢は検討もせず。

もう一つ理由がある。それは夫婦連名で共有名義を持つことのできるジョイント・アカウント制度の可能性。個々の口座とは別に、2人で1つの口座を持ちたいと思い結婚をきっかけに調べてみたのだが、日本の銀行では1口座に対して複数名義というのは取り扱っていない模様。さすが、家長制度が深く根付いた黄金の国。でも、親をファーストネームで呼ぶ自由の国からきたCITIBANKならきっと大丈夫だろう。共有名義にする事ですばらしい特典やメリットがあるわけではないのだが、我々が求めるは民衆の平等化。夫婦はチーム。どちらもスタメンで、キャプテンは交代制。向かうは敵なし、二人三脚。…結局は気持ちの問題だけなのだが、そんなところに目を向けるのも我が家の民主主義。

早速地元の支店へ。窓口で相談すると、インタネット上で手続を行うと口座維持手数料(一定残高を下回ると発生する手数料)がかからないとのことで、開設に向けた説明だけ受ける。ただ、期待と反してアメリカに移住した際はアメリカの支店で改めて口座を作らなくてははならないこと、そして日本のCITIBANKではジョイント・アカウントは取り扱っていないとの説明を受け、少しがっかり。資料だけもらってとんぼ返り。そして登録。

換算レートはTTS (Telegraphic Transfer Selling rate, 銀行が顧客に対して外貨を売る際の為替レート)3%増、米ドル以外の通貨は一度米ドルに換算されてから同じ条件で計算されるそう。ATM手数料は1取引に付きUSD2.00。ちなみに、今日のTTSがUSD1.00 = JPY84.09だから、USD50を下ろそうと思った場合、約300円の手数料がかかるということか。まあ、そんなものなのだろう。

2週間後に届いたカードは半透明。新品。どうせすぐにぼろぼろになるのだが、今は財布の一番手前に。
早速サエの分も作らなきゃ。

2.17.2011

永住への道②: 移民の歌

永住権(permanent residency status)を取得するための次のステップは、申請者(beneficiary)の経歴審査。これには、申請書類とともに健康診断書(health examination)と警察証明(police record)の提出が求められる。

健康診断は指定クリニックが都内に3ヶ所あり、予約制。 ワクチン十数種の接種も必要で、母子手帳などの記録を持ち込む必要はあるが、あとは血液、X線検査など複雑なものは無さそう。

心配なのは警察証明、別名は犯罪歴証明。 もちろん犯罪歴は無いはずなのだが、16歳の時に成田空港で没収されたHビデオのタイトルや、酔っぱらって登った電車の名称など、かわいいいたずらの記録なんかも含まれるのだろうか。

取得先は自治体の警察本部。予約はいらないとの事で、
朝一番に訪れる。8:30より早く警察を訪れたのは、20代中頃が最後だろうか。10月に野宿をしていたら、「寒いから来なさい」とロビーで宿泊させてくれた苫小牧警察署以来だと思う。氷点下を下回っていたので正直ありがたかったのだが、翌朝、お礼もいわずにそそくさと出ていった事は、はたして記録に残ってしまっているのだろうか。

待ち時間はなし。申請書を書いて、身分を証明し、
指紋を丁寧に採取されて終了。書類は1週間後に発行されるのだが、実はこれ、封印されているので内容は見えないらしい。ますます心配。

考えてみれば、いろいろなところでお世話になっている正義の味方。
今回もよろしくお願いします。

2.15.2011

永住への道①:ボーン・イン・ザ・U.S.A.

12年前に友人が作ってくれたGC
アメリカ市民である家族や親戚に与えられた権利を基に、米国永住権を取得するには大きく分けて3つのプロセスがある。

 先日大使館にて行った面接や書類提出、それは嘆願者(petitioner)が申請者(beneficiary)の保証人としてふさわしいかを判断する第一審査。これが1つ目のプロセス。嘆願者は、永住を希望する申請者の金銭的や社会的な責任をアメリカ市民として負う者を指し、それには、納税など社会的責任を果たしてきたかどうかが重要となる。審査は約3週間要する。

サエは期待を裏切らない。


申請から17日目。真っ白な薄い封筒が届く。
開封すると第一審査を通過した通知と次のステップについての説明。ということは、サエの責任能力が国に認められたことになる。Congratulations! の冒頭は、大学入試の際の合格通知を思い出させ、飾り気のないレターサイズの紙2枚を丁寧にクリアファイルへ入れる。まるで自分の物のように。

しかし、
ここまでのプロセスについてはボク自身の経歴はまったく関係ない。これからのプロセスについては、ボクの不安と共に、次の投稿で紹介しようと思う。

※実際の申請方法については、
米国大使館の公式サイトにてご確認ください。

2.14.2011

サムライ・ホットドッグ

アメリカでメシ屋をやるならこんな感じ。


そんなおおげさな話をしていたら、


仲間が解説図まで描いてくれた。

もうやらざるを得ない...

2.08.2011

きっかけは借りた本だった

「アメリカで生活した事のあるヤツにさ~、これ読んでもらって感想を聞いてみたいんだよね」と上司に渡されたのは、真保裕一の「栄光なき凱旋(2006)」。元々、小説をほとんど読まない僕にとって1,500ページもある大作は、気軽に差し出されても受け取る事すら躊躇してしまう。更にこのタイトル。英訳すると、”Triumphant Return without a Glory”となるだろうか。悲しすぎる...そして重い。受け取って、机の引き出しにしばらく放置してみたが何も変わらず、そろそろ感想を聞かれるだろうからという理由でようやく読み始めてみた。


沈没した戦艦の上に建てられたUSSアリゾナ記念館
2010年11月
1941年12月7日。日曜日。07:49。ハワイや西海岸にて生活する日系人たちを極めて困難な立場に追い込む事となるパールハーバーの攻撃が始まる。それまでは白人と平等に勉学に励み、就職先を探し、夢を抱き、恋をする生活を送っていた人の若者は、戦争によって国と国との狭間に立たされることとなる。白人がひしめく大手銀行への就職を決めた、日系二世のエリート、ヘンリー・カワバタ。母に捨てられ、日本で苦しい幼少期を過ごした、帰米二世のジロー・モリタ。白人の恋人と大勢の仲間をもつハワイの帰米二世、マット・フジワラ。両親の祖国であり自身に流れる血は、時としてアメリカに対する想いや価値観とぶつかりあう。

本当の自分は誰なのか、心が揺さぶられる若者たちの姿は、2カ国に属しながらどちらにも受け入れられていないのではと悩んだ自分の大学時代に共通するものがある。太平洋が隔てた2つの国。どちらにも受け入れられ、どちらにも中途半端な存在。そんな過去の事を思い出しながら、気が付いたら本を置けなくなってしまった。

日本とアメリカの両方で生活したことのある人、複数の文化で育った人、二世、サンセイ、帰国子女、留学生、ガイジン、バイリンガル人、バイカルチャル人。山崎豊子の「二つの祖国(1983)」とともに、是非そんな人たちにこの本を読んでもらいたい。

2.03.2011

言語学者の学説と、親父ギャグとは紙一重

ハワイLeonard'sの名物、揚げパンのマラサダ。
マラサダ・パフに入っているのは「想い」らしい。

先日、作品を輸送する為に貨物用フレイト・エレベータに乗っていて気づいた事。「バックオーライ」は、”Back, alright” だと思っていたら、行き来する意の「往来」であるかもしれないとふと思った。カタカナだから、英語と思うのは勝手な推測。そんな訳で、最近気になった英語の語源を仮説として立ててみようと思う。


「~の類、~のような、~に属す」という意味である”...ish”。 Childish, seven-ish, Swedishなどなど、造語でもよく使われる。語源は古英語のiscや、ドイツ語の-isch、ギリシャ語の-iskos などに由来しているとされているが、もしかすると、本当の語源ははself一種やScott一種など、日本語なのでは?

”Shut down”、閉鎖や操業停止などの意味で使用されるが、これもエイゴになったニホンゴ。仕事と人の間を裂く、「遮断」がきっと語源。

...遊びも過ぎると災いの元なので今日はここまで。