11.16.2011

ソーシャル=社会的  セキュリティ=保障

アメリカで生活するうえでまず必要となるのが、社会保障番号(Social Security number)である。これは、就労者に対して発行される管理番号と位置づけられているが、持っていないと税排除の対象とならない事から、現在では出生時に証明書と併せて登録される九桁の番号である。

大学を卒業した後に与えられる1年間の就労許可(Practical Training Program)を利用してボストンで就職をした僕は、当然ソーシャルセキュリティを取得しているはずなのだが、カードは随分昔に紛失してしまったらしい。アメリカではこの番号が就職や口座開設の身分証明として使用されているので 、これがないと何もできないに等しい。幸い番号は控えてあったが、それが正しいかを確かめる必要がある。そこでソーシャルセキュリティ・オフィスへ出向いた。

マンハッタンの南、チャイナタウンとトライベッカの間にある連邦ビルに事務所を構えるSSオフィスは、建物に入るまでのセキュリティがとても厳しい。飛行機に乗る以上の厳しさは、連邦ビルの重要性?を伺わせる。今日はかばんにナイフが入っていなくてよかった。入ってからは気が抜けるほど簡単だった。入口で渡される用紙を書き込み、順番が来るとその紙を提出するだけ。アメリカ特有の軽いトークを聞き流しながら、低姿勢で待つ事5分。番号の確認がとれ、新しいカードを発行する手続きをしてもらい退館。

待つ事たった一週間。封を切って中を見ると、紙のカードが一枚。

どうやらそんな紙切れで身分を証明するらしい...さすがアメリカ。

11.10.2011

適当な歩幅

もうしばらくブログを続けることにします。
皆さま、お付き合いの程よろしくお願いします。

さて。

ニューヨークへ到着してから2週間半。マンハッタンは何度も訪れているが、ここで生活 することを前提に街を歩き回るのは初めて。2007年以降、仕事やプライベートで毎年1~2回は訪れたが、その際はやはり観光客。行く場所も買 うものも普段の生活からはかけ離れたものばかりを選択する。もちろんそれでいいのだが、今はそういうわけにはいかない。

この街。最初の1週間は、正直外へ出かけると街に呑み込まれるのではないかという錯覚に陥った。ここは一般的なアメリカの地ではない。世界中から集まるエネルギーが高層ビル群に挟まれた路上に溢れ出し、この止まらない大都市をひたすら動かしている。ただ人が多いだけではない。ここでは人々が無造作に、不定期に、そして他人に対して無関心に、立ち止まったり進んだりする。秩序と暗黙のルールに守られた都内を歩くのとはわけが違う。「肩引き」や「七三の道」など江戸時代から伝わる思いやりの思草(しぐさ)は、ここには存在しない。

でも歩かないと覚えないので、用があってもなくても、とにかく外へ出ることにしている。生活に必要なものがどこにあるか、地域の特色はどのようなものか、そして人々のスピードはどのように変化するのかを少しだけ意識しながら散策する。これは、地域に馴染んでいない今しかできないことなのだと思う。そしてもう一つ心がけているのは、回りに圧倒されないこと。自分の歩幅を維持することを意識したことはこれまでなかったように思うが、これが自然にできていないのは、まだ溶け込んでいないからなのだろうと思う。

新しい地へ移る楽しさとは、そんなところにもあったりする。

11.01.2011

旅の終わり

突然ではあるが、旅を切り上げることにした。理由は様々あるが、「旅が明日終わってもいいと思える今日を過ごす」ことを心がけた僕らに、後悔の念はない。

この決断をしてからは慌ただしかった。ヨーロッパを出る前にやる事を決め、予定していた訪問や合流をキャンセルした。インド大使館からパスポートを回収し、安い航空券を探して手配した。久々に引っ張り出したバックパックに荷物全てを詰め込み、買い込んであった食料を消費した。

スペイン、ポルトガル、イタリー。訪れる予定にしていた場所の中で、最後の訪問場所はドイツに決めた。フランクフルトとケルン。サエの家族の知人へ会うのが目的。出発の2日前に列車の切符を予約しに行くと、パリ~フランクフルト間の直行は全て満席。5時間弱かかるが乗換の少ないブリュッセル経由で行くことに決めた。フランクフルトで2日間、ケルンで3日間の短い滞在。人と会ったりしてバタバタと毎日が過ぎ、そして気づくとこの旅最後の移動。

格安航空会社のエアベルリンで、ケルン発ベルリン経由JFK行き。
1時間の国内線と8時間の国際線。どちらのフライトも満席だが快適。

そしてNYへ到着。これは2週間前の事。

延べ153日間。
訪れた国の数は19カ国。
移動総距離はこれから確認することにしよう。

サエ、オツカレサマ。最後までよくがんばったね。ありがとう。