6.30.2011

北極圏の男たち ~其の壱

イナリのゲストハウスでのんびり朝食を食べながら、サエと直近の予定を打ち合わせ。ロシアのビザが下りる水曜の朝までにヘルシンキへ戻ればいいし、何度か使用の記録がされなかった為にユーレール・パスもふんだんに使えるので、適当に南下しながら面白そうなところで時間を過ごすのもいいだろうという事で合意。まずは、北部ラップランド地方の首都であるロヴァニエミへ向かうことに。人口5万人弱のこの町は、ちょうど北極圏の線上に位置し、サンタクロース・ヴィレッジや(冬のみ)オーロラを眺める事のできるガラスのカマクラがあり、観光客が多いらしい。人工的な観光施設は興味ないのだが、今週末は夏至を祝うミッドサマーナイト・フェスティバルがあるとの事で行ってみることに。


いざ到着してみると、とても寂れた雰囲気の町並み。観光客の多くは、バスツアーで来ている中国人の団体。夜まで待ったお祭りも活気があるわけではなく、河岸で大きな火を焚き、近くのテントでは老夫婦たちがフィンランド風演歌のような音楽にあわせて踊っている。おもしろいかなと思ったが入場料が17ユーロで断念。少々ガッカリしながら2泊。



我々がフィンランドに滞在している短い間、実はたまたまラップランド地方でドキュメンタリー映画を撮影している友人がいた。ジェシカは、日本でドキュメンタリー映画を撮影している際に出会った若手監督で、サエの兄やボクの甥が作品に深く関わった関係で出会った、才能溢れるアーティスト。今回撮影している作品はトナカイ飼いの文化と生活を追う記録だそうで、既に一年も前からこの地で撮影しているらしい。できれば会いたいと思いつつも、不定期なスケジュールやクルマがないと行けないような奥地での撮影の為、正直無理かもしれないと思っていたのだが、我々がロヴァニエミを出発する当日朝に連絡があり、時間がとれたので町までくるとの事。少し暗かった北極圏滞在の最終日に光が射したように思えた。


其の弐へ続く…


6.26.2011

白夜 on 夏至

2011年 6月24日 
00:00
フィンランド、イナリ 
北緯68°40' 

その他の画像をFACEBOOKでも紹介しています
search > Yoshito Yoshioka



6.25.2011

親愛なる娘、ミラへ

昨日は電話をくれてありがとう。久々に君の声を聞けて嬉しかった。きっと病院での夜勤続きで疲れているのだろうが、多くの人々の力になってあげているだろう事を、いつでも父さんは誇りに思っている。

私は休暇をイナリで過ごして、これからヘルシンキへ帰るところだ。毎年恒例の3週間の釣り、昔、一度だけミラを連れてきた事があったな。今年はすごいのを釣ったんだ。先週、いつものようにボートで湖へ出て糸を垂らしていると、これまでに感じた事のない引きがあった。興奮を抑えながらゆっくり時間をかけ、15分後にその姿を見た瞬間、湖の主だと確信した。釣り上げたのは長さ78cm、重さ7.25kgのマス、きっと今シーズンno.1の大きさだよ。写真は後で見せる事にしよう。

そうそう、昨日変わった人々に出会ったよ。日本人とアメリカ人のカップルで、話していたら面白そうだったので、一日一緒に過ごしたんだ。ミラには、お人好しなんだからって笑われるかもしれないが、ボートでイナリ湖を案内したり、ノルウェーの国境までドライブしたり、楽しい一日だった。キミから電話があったときも、実は一緒にいたんだ。トナカイの肉を初めて食べたらしいんだが、とても美味しいと食べていたよ。きっとフィンランドの美しい自然を感じてもらうことができただろう。彼らが写真を送ってきたので同封しよう。パパはいい男に写っているかい?

一日も早く、君に会えるのを楽しみにしているよ。体調に気をつけて、お土産と話を楽しみにしていてくれ。

愛を込めて、パパより






※この手紙に出てくる登場人物は実名であり、内容は事実に基づいていますが、本人の主観については事実と異なる場合があります。

6.24.2011

ロックな夜

ヘルシンキの最初の夜は、久々に別行動
サエはどうやって過ごしたんだろう


スウェーデンのビール

Falcon Bayerskt, Mörk Lager, 5.2%, Falkenberg, Sweden

Eriksberg, 5.3%, Eriksberg, Sweden

6.23.2011

裕福な国王の街、空腹な北欧の旅




コペンハーゲンから電車で30分程東へ進むと、スウェーデンとの国境。その近くにある小さな町で一日過ごし、夜行列車で首都ストックホルムへ。本当はノルウェーも行きたかったのだが、次の旅までお預け。ストックホルムも週末のせいかホステルが満室で宿泊先が確保できず、やむなく同日に夜行フェリーでフィンランド南西の港町、トゥルクへ。








街も郊外も美しく、人は親切で丁寧。食事も…まぁバターの量を除けば美味しいし、ロックも盛ん。初夏の北欧の旅はとても楽しいのだが、とにかく高い。特にこういう行き当たりばったりな旅をしている最中は、とても厳しい。宿泊も食事も、ネット接続もトイレでさえもお金がかかる。そのかわり整備され、整頓されているのだから納得がいかないわけではないのだが。

トゥルクからは電車でヘルシンキへ。朝7:00に下船したので3時間半の電車旅は寝たかったのだが、座席の予約はしてこなかったので適当に座っていると、「私の席ですよ」と正当な権利を持つ乗客に笑顔で起こされてしまった。

自由と平和の象徴、クリスチャニア

舗装されていない 細道を入り、しばらく進んでいくと行儀よく列をなして行き交う自転車が見えなくなり、低く唸る自動車の音が聞こえなくなった。通り過ぎる人が微笑み、ネコが気持ち良さそうに広場の真ん中で寝ている。



クリスチャニア(正式名称:Freetown of Christiania)とは、コペンハーゲン市内の中心にある理想郷。17世紀から軍の基地として使用され、核兵器や武器に汚染されて買い手のつかなかった土地を1960年代後半に若者たちが無償で政府から引き取り、自由なコミュニティを作ることにした。そこでは、その地域だけの法を作ることが認められ、当時のヒッピーが求めていた平和と自由を掲げ、多くの若者が自分達の家と生活を建て、食物と子供たちを育てた。国王クリスチャン4世に由来する名称は、軍事基地に付けられた土地名が引き継がれたものであり、赤地の旗に描かれた黄色い丸は3つの「i」の点の部分を示している。







個人の所有物が存在しないこの地域には生活者に平等の権利が与えられ、政府や有権者は存在しない。完全な民主主義で物事は決められるが、平和を維持するため3つだけルールがある。no hard drugs (薬品系の麻薬禁止)、no violence(暴力禁止)、そして no cars(自動車禁止)。現在この地で生活する約500の住民、アーティストだったり、発明家だったり、中にはクリスチャニアの外に仕事を持つものもいるらしい。現在は厳しく取り締まられるようになったが、大麻が売られていた当時の面影が中心地に強く残っており、デリやカフェ、バーなどにはその雰囲気を楽しむ地元の若者や観光客などが大勢集まってくる。僕たちは地元の人に案内してもらったのだが、オススメはガイドブックに載っているこの中心地よりも、湖を囲うように続くハイキング・トレイルのような細道。30分程のこの道を歩くと、ここの人たちがどの様な生活をしているのかを垣間見ることができる。


実は、このユートピアについて悲しい話がある。1ヶ月ほど前にあたる2011年の5月に、デンマーク政府がクリスチャニアに対して起こした訴訟の判決が下された。このコペンハーゲン一等地を国へ返還するかクリスチャニアが買い取るべきだという内容らしいが、国の勝訴で決着がつき、今後このコミューンの行方は不透明らしいのである。多くの国民から認められ、中には国の誇りだと言う人もいるクリスチャニア。この自由と平和の象徴を、現在のままでいつまでも残しておいてほしいと願うとともに、変わってしまう前に一人でも多くに体験してほしいと思う。


ちなみに訪れたいと考えている方、写真撮影が禁止の区域があるのでご注意を。

6.21.2011

デニッシュってデンマーク語ではなんて言うのだろう…

30時間船に揺られ、デンマーク最北にある港町、ヒァツハルス(Hirtshals)に到着。バックパックを背負い下船しながら今度こそとパスポートの入ったポケットに手を延ばしたが、フェロー諸島に引き続き入国審査は無し。このままロシアまでは新たな入国記録がつかないまま旅を進める事になるだろう。




電車を何度か乗り換えて最初の目的地であるオーフス(Århus)へ向かう。まず気付いたことは、広がる田園風景が平たいこと。オーフスはドイツに隣接するユトランド半島(Jutland)の中ほどに位置する第2の都市で、文化の中心らしい。美術館を訪れるなど街で半日過ごし、電車で3時間かけて南にあるコペンハーゲンへ。街は綺麗にしてあり、電車は時間通りに走る。煉瓦は均等に積まれ、色は統一されている。学費も福祉も国が負担するこの国、とても丁寧でマジメだという印象を受けたが、このシステムを活用できない人は社会の脱落者として厳しく非難されてしまう、と現地の人が教えてくれた。平均以下に風当たりが強いところも日本との共通点だろうか。





翌日は出会った人から自転車を借りて市内を散策。小さな島国を巡ってきた我々にとって、市の人口50数万人の小さな都市であっても久々の都会はギャップが激しい。更に、自転車専用の道路と信号が整備され、追い越しや右折専用車線があるほどの二輪車社会なので、街中の動きは目まぐるしく、あっという間に体力を消耗。公園で一息。この日は何かの記念日だったらしい。





6.19.2011

デンマークのビール

Carlsberg, ##%, Copenhagen, Denmark

Ægte Fynsk Ale No. 16, 5.7%, Fyn, Denmark
Kærlifhed, 5.0%, Fyn, Denmark

Tuborg  Grøn, pilsner, 4.6%, Copenhagen, Denmark
Økologisk Christiania, Thy pilsner, 4.6%, Jutland, Denmark

フェロー諸島のビール

Föroya Bjór Gull, 5.3%, Faroe Islands

Föroya Bjór Pilsner, 4.6%, Faroe Islands
Föroya Bjór Classic Dark Lager (not pictured)



Tarvur Restorffs,  4.6%, Faroe Islands

Okkara Pilsner, 4.6%, Faroe Islands
Okkara Klassik, 4.6%, Faroe Islands
Okkara Gull, 5.8%, Faroe Islands

6.12.2011

宿泊について: ユースホステルとゲストハウス

アイスランドもそうしていたが、フェロー諸島でもユースホステルやゲストハウスでの宿泊を続けている。バックパッカーに馴染みの宿泊先であるこれらの施設、違いや使い分け方がわからないので調べて見る事にした。

フェロー諸島、トースハウンのユースホステル、男性部屋
まず、ユースホステルには歴史がある。創設者はドイツの小学校教師、リヒャルト・シルマン
Richard Schirrmann, 1874-1961)。ある時、子供達を連れて屋外授業を行っている際に風雨に見舞われ、ある村の学校に駆け込んで宿泊させてもらう。この事をヒントに、青少年向けに安全な宿泊施設を提供する事を目的とした施設のネットワーク設立を思いついたらしい。ユースホステルの定義とは、安価で安全な宿泊先を提供する会員制施設だが、その施設や設備を指すよりも利用者や経営者の文化的特色を示す言葉である、ともいわれている。施設は相部屋が主で男女別も混合もあり、キッチンなどの共有スペースがあるところもある。

アイスランド、ウエストフィヨルド地方のゲストハウス
ゲストハウスとは、1泊単位で宿泊できる安価な宿を指し、キッチン、トイレ、シャワーなど共用スペースがある事と、小部屋の他にドミトリと呼ばれる相部屋がある事などが特徴である。ユースホステルとの違いは会員制であるかどうか、そして提携しているネットワークが異なる事くらいだろうか。個人的にはゲストハウスのほうが家を改築して提供している、アットホームな雰囲気を持っているところが多いように感じる。値段も同じくらいだろうか、地域によって異なるがヨーロッパ圏は高いほうで、一泊¥3000~5000程度。東南アジアはその1/10程度で泊まれるらしい。

ユースホステルの共有スペース(アイスランド、イサフィヨルド)
いずれの施設でも重要なのは出会いだと思う。これだけインタネットが発達しガイドブックも多く出版されている現在、誰に話す事もなく旅行を楽しむ事はできるだろうが、やはり出会った人と共有したり交換する旅先の情報や文化はとても価値あるものだと思う。貧乏な若者の一人旅から、引退して余暇を楽しんでいる年配カップルまで、年齢も人種も目的もさまざま。部屋をシェアしたり共有スペースでくつろぎながらいろいろな話ができるのは、きっとホテルでは味わう事ができないだろう。

6.11.2011

フェローとは羊を意味するらしい

北緯64度のセイディスフィヨルド港を20:00に出港したフェリーは、南東方向へ約18時間進み、翌日の午後にフェロー諸島の首都トースハウンのあるストレイモイ島に到着した。アイスランドとノルウェーの中間地点で英国の真北に位置するこの地域は、矢尻の形に並んだ18の島から成り立っていて、それぞれの島は海からそびえ立った山のような形をしているのが特徴。谷間の海に近いところにカラフルな家が並び、あちこちに港町が形成されているのが船で通過する際にみえる。

おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に...
 
アイスランドから来たせいだろうか、第一印象は風がなく暖かいということ、そして街並みの雰囲気が違うということ。まだ10度程度なのに...レイキャヴィクの町は広場を中心に縦横の道路がはっきりしているのに対し、トースハウンはまっすぐな道が一本もない。また、山の斜面に囲まれているので色とりどりの屋根が折り重なるようにみえるのがとても鮮やか。そして、屋根に敷き詰められた草を含め、街中に緑が多い。初日は天気が悪かったが、小さい町なので迷うのを楽しみながら散策。

島々が折り重なるように見えるのが特徴

ここはデンマークの自治領とされているが、漁業に規制がかかることを懸念してか、1973年の本国のEU加盟に加わらなかったり2000年以降は独立派の政治家が増えるなど、自治政府による行政が盛んに行われているようだ。物価は離島のせいなのか、それとも北欧に近いからなのか、割高である。

翌日は2番目に面積の広いエストゥロイ島のルナヴィクへ。何がある町でもなかったが、天気がよかったのでひたすら散歩。ジャケットなしで外を歩けるのはやはり気持ちいい。実はこの町へきたのはフェスティバルがあると聞きつけたからなのだが、実際は夜に行うとのことでバスの時間に間に合わず、断念。投稿はしなかったが、アイスランドのイサフィヨルドでがっかりした漁師祭といい、この旅、いまのところ祭りごとには縁遠いようだ。

6.08.2011

今日も雪が降っています…

アイスランドの天気が気に入らなければ5分待ってごらん、更にひどくなるよ
-愛国心に溢れる全てのアイスランド人


VATNAJÖKULL, 6.0%, Selfoss, Iceland

愛国心と誇り

2週間以上お世話になったオスカーの家を去る前日、家族みんなで食事へいった時の事。冗談が好きなコロンビア人の彼にこんな事を言われた。「ヨシ、あそこのアイスランド人に、日本の魚の方が美味しくて、世界一治安がよくて、日本人の方が長生きするんだって自慢してきた方がいいぞ」。

火山灰に覆われた地表
ここで二週間生活して学んだ事は、アイスランドの人は愛国心がとても強いという事。上に掲げた事は、地元の人たちがとても誇りに思っている項目の一部で、中には強風が吹き荒れ、冬は日の光も当たらないこの土地の気候ですら世界一だと言い張る年配の方もいらした。数年前に国旗・国歌が問題視され、辞職が責任を果たす事とされている日本では、小学校ですら国を愛する心については学ばなかった気がする。

大切に思うからこそ景観を大切にしているのだろう。道路にはほとんど柵やガードレールつけず、山を削り取ったり谷を埋めたりして行き来しやすくする事もない。移動にどれだけ時間がかかろうとも、道路は地形にあわせて敷かれ、崖の上の観光スポットもまたげる高さのロープ一本で仕切られているだけ。「できるだけ自然な状態を保つために、安全は個人の判断に任せているのよ」と地元の人はいっていた。ゴミもほとんど落ちていない。汚されていないこの土地、この状態で次の世代に引き渡せる事ができればいいと、切に願う。

深さが約190mの川に浮かぶ流氷
また、ここの人はきめ細かく丁寧だと思う。食品の袋に設けらられた開け口やヨーグルトについてきた折りたたみ式スプーンも、日本人っぽいサービスを心がけているように思える。アメリカならハサミがないと開かないようなパッケージは当たり前。これも単一民族の誇りがなし得た技なのだろうか。

元々アイスランドは、納税を義務付られた王国制度から逃れるために9世紀末頃にノルウェー、スコットランドそしてアイルランドから移民してきたのが始まりらしい。その後もキリスト教化を強いられたり、ノルウェーやデンマークの植民地化、ナチスの侵略などさまざま圧力があったが、バイキングを祖先とする彼らは勇敢に立ち向かい、独立を果たしてきた。そんな強靭な魂を持つアイスランド人だが、自然の災害についてはとても寛大で、例えば先日噴火したグリムスヴォトンが理由で友人の乗っている飛行機が遅れても、「そのうち収まるよ」と楽観的なのである。自然を中心としたこの土地でのライフスタイル、本当に考えさせられる事が多い。

異国で最初の罰金…

 

早速やってしまった、スピード違反。
午前00:01、14時間目。
トンネル内、15kmオーバー。

...ブログを通じて両方の親へ報告。

6.06.2011

アイスランドのビール

 アイスランドでは、スーパーマーケットやコンビニなどでアルコール商品を販売することが禁じられているらしく、酒屋でないとビールすら買えない。専門店以外で帰る唯一のお酒は度数2.5%程度のライト・ビールだけで、一度間違えて買ってしまったが水っぽくておいしくはない。

代表的なメーカーはVIKING、EGILSだそうだが、普通のビールでも味は濃くない。地元の人が紹介してくれた地ビールのKALDIとFREYJAはコクがあっておいしかった。

Viking Gyllsur, Akureyri, Iceland 5.6%

Kaldi, lager, 5.0%, Arskogssandur, Iceland

Fósturlandsins Freyja, 4.5%, Selfoss, Iceland

Egils lite, Reykjavik, iceland.   4.4%