6.01.2011

沈マヌ太陽

我々のホストであるオスカーは、SEEDSというNGOの設立者。SEE beyonD borderS(境界の先を見る)をモットーとして2005年に設立されたこの団体は、自然や環境に関するボランティアを通じた文化理解を深めることを目的としており、毎年世界各国から集まる若者が中心となってアイスランド全土において様々な活動を行っている。





さて、そんな彼からアイスランド到着前にある提案をもらった。それは、 到着の翌日(5月22日)に670km離れた東海岸までボランティア・スタッフと同行して彼らをプロジェクト先で降ろし、翌日にクルマをレイキャヴィックまで持ち帰るというもの。ほぼ北海道と同様の国土は、国道1号線が島を一周しており、目的地は北ルートでも南ルートでもほぼ同じ。一日8~10時間程度の運転で国全体をみるにはちょうど良いので即決した
  


島の東側にのみ生息する野生のトナカイ
 到着した日にグリムスヴォトンが噴火したため南ルートが閉 鎖され、更に東側は季節外れの雪が降っているところもあるから時間がかかるかもしれないと言われたが、予定どおり出発。同行者はヨーロッパ出身者が多く、毎年来ている人もいれば今回が初の人もいる。年齢は平均20代中頃だろうか、夏休みを利用して来ている学生が主。クルマの中は言語不明の音楽が流れ、会話も弾んでいる。あちこちの観光スポットに立ち寄りながら順調に進んでいったが、夕方から雪が降り一部の道路が閉鎖され、急遽目的地から60km離れた場所にある、他のプロジェクトの宿泊先へ転がり込む。
 


翌日も道路が閉鎖されていたため、現地のボランティアを手伝うことに。木のオモチャや棚を塗装したり庭の手入れをするなどして過ごした後は、スタッフと共に料理をしながら様々なゲームを楽しんだ。例えば母音で始まる単語のみを使って会話をするゲーム。これはやってみるとわかるが思っているよりも難しい。ボランティア・スタッフはとにかく楽しむことを知っている。  

3日目にようやく2人で出発。 まずは近くの町にたどりつき、観光センターで先の天候について聞くと、「俺なら行かない」 と北国の大男が口にする発言とは思えない後ろ向きさ。渋るサエを促して出発したが、後悔。一車線ずつの道は谷を見下ろしながら沿うように進むのだが、崖に向かって殴りかかる風速18mの強風で雪が吹き上げられ前方が見えない。加えて、冬用タイヤを履いていないハイエースは氷の上に積もった雪に足を取られ、加速も原則もできない。吹雪いている雪は錯覚をおこし、雪の精がいつ現れて誘惑してきてもおかしくない状態が続いた。


結局、16km先のガソリンスタンドに到着するのに1時間半かかってしまった。2人ともぐったり。 しばらく休んで雪が落ち着くのを待ち、改めて出発。ひたすらモノクロの世界が続き、慌てないようじっくりコマを進める。夕方近くになるとようやく道路の雪も溶け始め、9時間かかってようやく半分。その後はスピードをだす余裕も出てきた。レイキャヴィックに到着したのは、周りが薄暗くなった後の1:30だった。翌日は起きたら12:00。相当疲れていたらしいが、 クルマも自分たちも無事で何より。まだ旅が始まってから4日。

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