6.08.2011

愛国心と誇り

2週間以上お世話になったオスカーの家を去る前日、家族みんなで食事へいった時の事。冗談が好きなコロンビア人の彼にこんな事を言われた。「ヨシ、あそこのアイスランド人に、日本の魚の方が美味しくて、世界一治安がよくて、日本人の方が長生きするんだって自慢してきた方がいいぞ」。

火山灰に覆われた地表
ここで二週間生活して学んだ事は、アイスランドの人は愛国心がとても強いという事。上に掲げた事は、地元の人たちがとても誇りに思っている項目の一部で、中には強風が吹き荒れ、冬は日の光も当たらないこの土地の気候ですら世界一だと言い張る年配の方もいらした。数年前に国旗・国歌が問題視され、辞職が責任を果たす事とされている日本では、小学校ですら国を愛する心については学ばなかった気がする。

大切に思うからこそ景観を大切にしているのだろう。道路にはほとんど柵やガードレールつけず、山を削り取ったり谷を埋めたりして行き来しやすくする事もない。移動にどれだけ時間がかかろうとも、道路は地形にあわせて敷かれ、崖の上の観光スポットもまたげる高さのロープ一本で仕切られているだけ。「できるだけ自然な状態を保つために、安全は個人の判断に任せているのよ」と地元の人はいっていた。ゴミもほとんど落ちていない。汚されていないこの土地、この状態で次の世代に引き渡せる事ができればいいと、切に願う。

深さが約190mの川に浮かぶ流氷
また、ここの人はきめ細かく丁寧だと思う。食品の袋に設けらられた開け口やヨーグルトについてきた折りたたみ式スプーンも、日本人っぽいサービスを心がけているように思える。アメリカならハサミがないと開かないようなパッケージは当たり前。これも単一民族の誇りがなし得た技なのだろうか。

元々アイスランドは、納税を義務付られた王国制度から逃れるために9世紀末頃にノルウェー、スコットランドそしてアイルランドから移民してきたのが始まりらしい。その後もキリスト教化を強いられたり、ノルウェーやデンマークの植民地化、ナチスの侵略などさまざま圧力があったが、バイキングを祖先とする彼らは勇敢に立ち向かい、独立を果たしてきた。そんな強靭な魂を持つアイスランド人だが、自然の災害についてはとても寛大で、例えば先日噴火したグリムスヴォトンが理由で友人の乗っている飛行機が遅れても、「そのうち収まるよ」と楽観的なのである。自然を中心としたこの土地でのライフスタイル、本当に考えさせられる事が多い。

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