3.09.2011

モア・ザン・ワーズ

日々是好日     
   -雲門文偃禅師

唐の時代の禅語として知られており、「にちにちこれこうじつ」と読むらしい。その日その日がかけがえのない一日であって、良いことも悪いこともあるがままを素直に受けとめ、そこに存在する事へ感謝しながら過ごすところに真の生き方がある、という意味だそうだが、この言葉を耳にしたのは旅のギアを買いに横浜の「好日山荘」を訪れた際。店名の読み方が分からずサエが店員に聞いたところ、おつりと共に、この言葉が由来である事をそっと教えてくれた。

後日、この意味を調べているうちに思い出したのが、ラテン語のカルペ・ディエム(Carpe diem)。古代ローマの詩人、ホラティウスの歌集で詠われたこの言葉は、直訳すると「その日を摘め」。英語では「今を生きろ(捉えろ)」の意味を持つ、”Seize the day”と訳されるこの語句、知らなかったのだが、Carpe diemは詩の冒頭に過ぎない。全文は、”Carpe diem quam minimum credula postero”、つまり「できる限り明日を信用せず、その日の花を摘め」とある。

10世紀頃に修行者たちに唱えたとされ、中国の仏教書である碧巌録(へきがんろく)に収録されている禅師の言葉。そして、紀元前1世紀に『歌集』(Carmina)に収められた詩。仏教の教えと共和政ローマにおける思想の違いはあるだろうが、「今」の重要さ、大切さ、そしてすばらしさと向き合っている言葉。きっとどちらも旅における自身のキーワードになるだろう。

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