7.12.2011

シベリア鉄道の旅: モスクワ ~ トムスク

走行距離  3644km
拘束時間  約54時間
出着時差  +3時間

待ちに待ったシベリア鉄道。もともとこの世界旅を話し始めた際、ぼくが最初に提案した「やってみたい事」のひとつ。企画時は、BGMに某列車の旅番組のテーマソングが流れ、広大なシベリアの大地をサーッと走り抜ける優雅なイメージ。ただ、東京のようにキリキリとしたモスクワでの一日を終え、混み合ったホームには持てないほどの荷物の前に座り込んだ人などで足の踏み場もなく、まるで夜とは思えない市場のような賑やかさに圧倒され、未知の旅への現実さが増す。まごつきながらチケットと車両の番号を照合し、パスポートと切符を係員に見せて2等寝台室へ乗り込む。4人部屋は前回も体験したとおりだが、出発してから初めて貸切であることがわかり、顔を見合わせてホッとする。まだ途中駅から乗ってくるかもしれないが、我々のテリトリー内で好きなように荷物を広げてドアに鍵をかけて寝る。カバンからものを出すだけで開放感を感じるという心理は、一時的にでもそこを居住地と定めたからだろうか。犬が縄張りをマーキングするようでオモシロイ。




部屋にはソファベッドが並び、テーブルにはクロスがかけてある。シーツやタオルも支給されるが、シャワーが無いのは誤算だった。仕方ない、イルクツクへ到着するまでの5日間は風呂なしの覚悟を決め、濡らしたタオルで身体を拭く。寝衣とスリッパに着替え、完全にリラックス状態。こういったことはこれまでの地元渡航者を参考に実施。飲食は食堂で注文することもでき、メニューも豊富だが北欧での教訓から高いだろうと推測。乗車前にパンやチーズ、リンゴやクッキー、更にはアジアン・マーケットでアラビア語で記載されたラーメンや韓国うどんを買い込んで持ち込み、個室で食べる。お湯は各車両に備え付けられているので、コップや鍋の持参は必至。当然水は飲めないので、ミネラルウォーターもあった方が良いだろう。




駅では、数分しか止まらない駅があれば30分以上も停車する駅もある。旅行会社のナディアに工程表をもらっておいてよかった。到着時刻は数分前後する程度で、想像していたよりも正確で、長い停車の駅では下車してストレッチもできる。風景は、「世界の車窓から」のように流れるような編集力で移り変わることはなく、森林が永遠に続いたあと、草原が永遠と続き、また森林に戻る。しかしこの広さを時間で感じられるのはなんて贅沢なことなんだろう。

米独立記念日は特に花火もお酒も友人や家族との集いもなし。NYへ移り住む楽しみのひとつとして来年まで延期としておこう。

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