8.15.2011

キャンプだホイ♪

ネットのアクセス規制により、更新が遅くなっています。まとめてアップする事になりますがご容赦ください(^^)


5日間のキャンプへ行く事にした。ウランバートルにある旅行会社では日数と行き先によってツアーが組まれているが、他の旅行者と一緒では自由が少ないと感じ、宿泊先を通じて運転者とガイドを直接雇う事にした。彼らの食費、ガソリンなど全て僕らが負担して、全部で一日一人あたり4000円程度だから、結果ツアーよりも安価で済んでしまった。広大なモンゴルを巡るのに5日間は短いので、中央モンゴル付近にとどまり、走行距離約1000km程度の行程を組んでもらい出発。




少し走ると景色は高原から草原、山間から平地へとゆっくり移り変わる。これまでの疲れが出たのか、僕らもは昼食時を除きほとんど昼寝。到着したのはウランバートルに隣接する自然保護区、ボグドハーン・ウール。砂丘が広がる高原で、背景に連なる山から小川が流れてきている。テントを張り夕食を作っていると、十数頭もの馬の群れが頭を垂れて草をむしりながら、我々がそこにいる不自然さを気にする事なく時間をかけて通り過ぎてゆく。




翌日、朝食のコーヒーと紅茶をそれぞれが飲み終わると、馬を3頭引き連れた12歳ほどの少年がキャンプを訪れてきた。前日に僕らがお願いしていた乗馬のガイドだ。モンゴルで出会った外国人の旅人には、馬で数日間移動しながらキャンプをするという体験をする人が多い。中には馬を購入して数週間単位で旅をする人もいるのだが、初心者の僕らはおとなしい馬で半日の体験版のみに留めた。鐙に足を掛け、モンゴル特有の木製鞍に跨る。短い手綱を片手に持ち、腹を踵で軽く蹴って促すと調子良く歩き始めた。午に乗るのは二十数年ぶりだから、懐かしいよりも真新しい。振り返ると、サエの馬はおとなしすぎるのかなかなか歩こうとしない。ガイドは自分の持っている鞭で停留中の馬の尻を叩き、歩き始めたところでそれをサエに渡すが、かわいそうだと思っているのだろう、結局ほとんど使わなかったようだ。




夕方。故障した車を修理するため、僕らをキャンプ地に置いて運転者のバッチャが立ち去る。その間に槙を集め、火を起こしてそこで料理。風の強いこの乾いた土地では、うまく火種さえ集めれば放っておいても火は燃えてくれる。代替え車で戻った彼と共に夕食を食べ、ウォッカと彼らの歌うモンゴルの歌に酔いしれながら、永遠に続く草原の上に寝転がり満点の星空を眺める。もし、棘のように硬い草が僕たちの背中を突ついてくれなければ、この幻想的な世界に吸い込まれていたかもしれない。





代替えした車も調子が悪い。3日目の午前中はオルコン湖の畔でノンビリと過ごし、昼食の後、あるゲルに立ち寄る。遊牧民から馬乳酒を購入するためだ。中央の床を陣取る男性数人と、母側の寝床に座る女性数人を前に、左側にある父側の寝床に腰掛ける。プラスティックのコップ並々に注がれた馬乳酒を持った手がこちらに向かって伸び、それを左手で受け取る。乳白であるはずの液体には何かがいくつも浮いているが、無視して一口味見。酸味がある。放置されたヨーグルトのような…次のコメントを待つ記者会見場のように皆の視線がコップに集まり、残りをのどの奥へ流し込む。フーッ…え?もう一杯?客人である我々に断る権利は無い。人肌ほどにぬるいビールも一杯もらい、引率者がペットボトル三本に流し込まれた液体を買うと、ようやく開放された。


エンジンルームから煙が漏れつつもキャンプ地に到着する。まずは車の状態を確認するのかと思いきや、バッチャは先ほどのペットボトルを開けるとラッパ飲みしてから僕のほうへ差し出す。うーん…やっぱりお土産のために買ったのではないのか。その昔アルバイトをしていた際に、あるバーテンダーから癖のある酒はまずいと思っても三回飲んだら好きになると教わった事がある。 ボトルを受け取りそのままの勢いで口に流し込むと、先ほどのものより新鮮なのだろうか、炭酸飲料のように刺激があって飲みやすい。好きになったという事はないが、機会があればもう一度飲んでみようと思ってしまった。



4日目。午前中はのんびりし、夕方を目指してフスタイ国立公園を訪れ、水を飲むために川へ下ってくる野生の馬をみようという事になった。距離およそ100km。のんびり向かっても2時間程度。14:30にキャンプ地を後にし、目的地へ向かったのだが10分ほど走ったところで止まってしまう。フッドを開けると湯気と煙が勢いよく一面を満たす。完全なオーバーヒート。見るとパイプに亀裂が入り、そこから冷却水が漏れている。バッチャがパイプをつなぎ直し、車に積んである水を全部ラジエータに入れ、再出発。10分後にもう一度停止し改めて見ると、今度はプラスティックカバーの部分に亀裂が入っている。ラジエータは留め金が折れて宙に浮いた状態、それを紐で縛りつけるバッチャ。道路の状態がとても悪いモンゴルでは、街中でも一般人がジャッキとロープで車を直している姿をよく目にするが、僕ならこんな状態のエンジン室を見た瞬間に降参してしまうだろう。エポキシ接着剤と平紐でデリケートな機械を直している間、僕らは15分ほど離れた近所の家を訪れて貴重な水20リットル程を分けてもらい、それを積んでまた出発。停まっては水で冷却し、また少し進む。騙し騙しで小さな村へ到着し、そこの修理工場を探す。村のハズレにある掘立て小屋には車が何台も並び、多くがパンクの修理待ちのようだ。いくつかの方法を試してくれた修理屋は、3時間程かかってようやくウランバートルへ明日帰れる程度の補修を終えてくれる。キャンプ地に到着したのは12時を回っていた。




最終日。朝早く行けば野生馬を見る事ができるかもしれないとのことで、眠いままテントをたたんで出発。モンゴルの野生馬は1969年に確認されて以来絶滅したとされていたが、20世紀前半に動物園の鑑賞用としてヨーロッパへ持ち帰られた同種の子孫を野生に返し、現在では約200等程が守られた国立公園の環境で生息している。ちゃんと帰れるかどうかの方が心配だったので見に行くのは正直どちらでもよかったが、行ってみると馬の群れはちょうど水飲みを終え、風上へ向かって山を登っているところだった。その後は直接ウランバートルへ向けて走ってもらう。2度程水分補給をしたが、昼前に無事帰還。皆さん、お疲れさまでした。

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