翌日、午後にビシュケクへ戻った際に宿泊費分のお金が足りない事に気付く。土曜なので銀行が閉まっている事を想定し、一人で某高級ホテルのATMを目指す。四日目の薄汚れたシャツで中へ入れてもらえるかを心配しながら歩いていると、警官二名が近寄ってくる。パスポートは?と聞かれたので出すと目の前に停車しているクルマに乗れという。中には私服の人物がいて手招きをしているので言われるがまま後部座席に腰を下ろすが、ドアは開け放して右足だけ外に出しておく。賄賂の要求もあるかもしれない。素直に従うべきか、どう対応しよう。
若い私服の男は、パスポートを確認しながらビザや入国日についてロシア語で質問してくる。同じ1975年生まれである事に喜び見せた笑顔が優しく、少し安心しながらジェスチャーと3つの単語で質問に答えると、その後肩に手を置かれ「#%^*$&@ #%^*$&@ narcotics?」。あー、薬物ね。無いですよと両腕を見せて注射痕が無い事をジェスチャーすると、持ち物検査。素直に持ち物全てを見せ、クリーンである事と協力的である事を証明する。落ち着いて対応したつもりだったが、よっぽど早くこの場を去りたかったのだろう。OKだと言われて慌ててクルマを降りようとしたら、パスポートはポケットにしまってから降りろと指摘を受ける。もっともだ。最後にジャパニーズ・ジェントルマンとまで言われ笑顔で見送ってもらったが、こういう事はどうしてかサエがいない時にのみ起きるのはなぜだろうと考えさせられてしまう。ホテルでお金をおろし、引き返す途中で同じクルマにすれ違うと、同年生まれの彼が笑顔で手を振ってくる。紳士らしく軽く会釈したが、足早にその場を過ぎ去った。
尋問された事を正当する訳ではないが、ちなみに土曜のこの日は市内でデモがあったらしく、僕以外にも職務質問を受けた人が何人かいたそうだ。
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